8月3日(水)晴れ
今日から夏の夜に向いている曲を紹介していきます。
夏の夜。それは1年の中でもクラシック音楽を楽しむのに最も適した時間の一つだ。(これも山国信州だからかも知れないが)
昼間は30℃、35℃を超える猛暑だった夏の一日も、陽が西の山に沈み、辺りが暗くなってくる午後7時を過ぎると、微かではあるが、ようやく涼しい風が吹いてくる。
そんな時間、あのまるでお祭りのような騒ぎの熱さ、喧騒は去ったが、何か余韻のような、軽い興奮が体の芯に残っているって感覚、ありませんか?
それを、心地よく鎮めてくれるような、冷やしてくれるようなクラシックの名曲を聴いて、この夏の一日をクール・ダウンして終わらせることにしましょう。(そうはいっても昨今の温暖化で、ここ信州でも夜とはいえ扇風機がなければダメですね。東京なら冷房なしではクール・ダウンもできますまい。)
まず今日はオードブルというか、時間帯でいうと7時過ぎにまず露払いの感覚で聴くという感じの曲、ヴィヴァルディのチェロ・ソナタ第1番を紹介します。
チェロの音が涼しさを呼ぶというのは、前に(梅雨明けの7/18)ハイドンのチェロ協奏曲第2番でも話しました。バイオリンに比べ、音の太い分、音の真ん中が透けるような爽快感というか、心地よい清々しさというか、風通しの良い音に聴こえませんか。。朗々と深々と弾くと、自然に爽やかな風を起こすような。チェロの音色そのものが涼しさを呼ぶような。
この曲は9分ちょっとの小曲で、緩-急-緩-急(ラルゴ-アレグロ-ラルゴ-アレグロ)の普通のソナタ形式ですが、特に緩やかな第1楽章と第3楽章がいいですね。深々と朗々とチェロが弾くと、その風と一緒に蚊取り線香の煙や匂いも流れてくるような(?)、日本の夏、キンチョーの夏と感じるのは私だけでしょうか。
演奏はそんなにレコードは多くないようだが(少なくともバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ(チェロ・ソナタ)と同じくらい良い曲だと思うのですが)、私はポール・トルトゥリエのチェロ、ロベール・ヴェイロン・ラクロワのチェンバロのエラート盤を好んで聴いています。(ERATO REL-3143)
アルペジョーネ・ソナタでも1回、トルトゥリエの演奏を取り上げましたが、このフランスのチェロの貴公子は、16歳でパリ音楽院を卒業し、カザルスに師事したということだが、確かにカザルスの情熱と、フランス人演奏家らしいエスプリを調和させたバランスの良さを感じさせるし、何よりもチェロの音がたっぷりと美しい。豊麗って言葉が一番似合うのかなって感じさせる、お洒落な人だな。(彼のベートーベンのチェロ・ソナタ第3番も好きです。)